ファントム・リム・ペイン(phantom limb pain:幻肢痛)の不思議

エネルギー治療

あなたは、幻肢痛というものをご存知でしょうか?

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例えば、事故で四肢の一部が切断されてその末梢が無くなったり、病気でやむなく上肢や下肢の一部が切断されてその末梢が無くなったりした場合でも、実際には無くなった腕や脚がまだ、自分の体にくっついている(本来の位置に存在している)と感じるのですが、これを”幻肢=phantom limb” と呼びます。

幻肢は、過去から記憶していた身体イメージを四肢切断後も四肢が失われたことを認知できないでいる高次脳機能の産物と言われています。
生理学や心理学では、身体イメージは無意識的な感覚の統合構造であるとされ、幼児期の早期に姿勢、運動および触覚の刺激によってイメージを獲得し、おそらくほぼ6歳頃にこのイメージが安定化するのだそうです。
ハンセン氏病では、手足の指が次第に失われ、身体イメージもそれに併せて手足の指を失っていくので、幻肢は起こりません。
四肢切断では、身体イメージの修正が遅れて幻肢が起こります。幻肢の持続は、身体イメージの再学習に長い時間を要することを示しております。
また、先天的な無形成症aplasiaによる四肢欠損があっても幻肢は起こりません。「五体不満足」の著者として有名な乙武洋匡さんのようなケースですね。

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また、無いはずの四肢が存在しているように感じる場合も、その長さは様々です。全く元の長さだったり、部分的に存在したり、短かったりです。

そして、もっと厄介なのが無いはずの四肢が痛む、幻肢痛(ファントム・リム・ペイン)です。これは、無いはずの四肢が痛む状態です。
前回、”焼けるような異常感覚” のお話をいたしましたが、この場合には、存在する体の一部が痛いわけですから、さすったり、温めたりと色々処置が可能です(有効性は別としても)が、幻肢痛の場合には、実際に存在しないのですから事態は厄介です。

実際、幻肢痛の有効な治療法は次の2つに分けらます。

1)末梢性トリガーによる幻肢痛
末梢神経の経皮的電気刺激
 神経腫局所麻酔
腰部交感神経ブロック

2)中枢性トリガーによる幻肢痛
抗痙攣薬
抗うつ薬
脊髄/視床/大脳皮質刺激

いずれもそれなりのメリット・デメリットを有していますし、有効性も様々です。

 

さて、ある日の事です。

私の外来に、80歳代の男性(Tさん)が来院されました。他院からの紹介で、昔の脳梗塞のフォローの依頼でした。
その方の左上肢は、肩関節から末梢がありません。20余年以上前に、仕事中の事故で切断されたそうです。切断された瞬間は、何が起こったのかわからなかったそうですが、ふと見ると自分の左上肢が無くなっているのに気がつきました。しかし、痛みが全くなかったそうです。
問題は、病院に入院して断端の治療した後から始まりました。無いはずの腕が痛くてたまらなくなったのです。そう、幻肢痛が始まったのですね。以後3年間は、どんな治療をしても治らなかったため、夜もろくに眠れなかったそうです。3年以降は、数ヶ月に1度、ひどい痛みが3日間ほど続いて消失するという発作を繰り返しておられます。
詳しく痛みの性質を尋ねますと、痛みがある3日間は、1−2秒間チカチカっとして治り、これが何十回となく繰り返されるとのことです。

最初の通院中は、この幻肢痛については何も言われなかったのでわかりませんでした。
ある日のこと、Tさんが
「今日は、この無き左腕が痛い。」 と。
『そうですか。”幻肢痛” という痛みですね。これは、西洋医学ではなかなか厄介で治りにくいものです。でも、もしかしたら、私が今やっている エネルギー治療(愛の手療法)が有効かもしれませんね。』
「そうですか。だったら是非、お願いします。」

私は、やったことのない病態でしたが、やってみなければわからないし、この治療方法は、副作用もないんだし、効果があればまた、別の同様の患者さんが来た時には救ってあげることができますからと、ご説明して、治療に対して、許可を得ました。

通常の手技で治療を開始し、10分間くらいで、終了いたしました。
不思議だったのは、無いはずの左上肢の部分にも感性があり、まるでそこに腕が存在するような感じがしたことです。やはり、リアルの身体以外に霊的な身体に相当する部分が存在するのですね。

『どうですか?』 と、お尋ねしますと、

「実は、この診察室に入った途端に、痛みが消えました。そして、今も痛みはありません。」

『それは、素晴らしいですね。では、少し経過を見てみましょう。』 と、申し上げてしばらく別の患者さんを診察しておりますと。
この患者さんが、また、痛みが始まった、と外来に戻ってこられました。数分後のことでした。そこで、もう一度、愛の手療法 を実施したのです。
2回目は、1回目よりも少し念入りにはしましたが、それほど変わった手技は致しておりません。
そして、痛みが完全に消えたのを確認して手技を終了しました。

『また、痛みが再発するようでしたら遠慮せずに、いつでも連絡ください。』 と言って、この治療を終了したのでした。

もし、このファントム・リム・ペインにもこういったエネルギー治療が有効だとなると、素晴らしいことです!

また、経過につきましてはご報告いたします。

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