• 魂の目的は、果てしなく永遠に進化し続けること。
• 何において進化するのか?
愛と叡智において。 愛なくして進化はない。愛なくして叡智はない。
愛なくして幸福はない。
• 進化は、各人の意志と努力にかかっている。
霊的世界
*最初に、魂の命は生まれた時に始まるのではないと言われましたよね。
その通り。
*生まれる以前には何があるのですか。
死んだ後と同じ、「生」だ。物質界に縛られない生の期間と、赤ん坊 に転生して物質界に戻ってくる期間とを、交互にくりかえしている。
*それでは、誕生をもって「生」が始まるのではないのですね。
それはちがう。
*僕たちは皆、今生の前にも別の「生」を生きたのでしょうか。
そういうことだ。
*それでは、生まれる前はどこにいることになるのですか。
霊界だよ。
*そして、死んだ後はどうなるのですか。
魂は肉体を離れて、元いた霊的世界へ帰る。つまり、物質に縛られる ことなく生き続けるのだ。
別の表現で要約すれば、霊界から来た魂は、生まれたばかりの赤ん坊 として転生して物質界と繋がり、肉体の死を迎えるまで物理的に生きる 期間を過ごす。死の瞬間に肉体との絆は切れて、霊界に戻る。
人がどこから来てどこに行くのかについての秘義は、「天に昇った者 はいないが、天から降りてきた者はいる」という簡単だが非常に奥深い くだりによってイエスが公言していた。これは、ヨハネの福音書三章十 三節(3, 13)に記載されているが、今までその意味が完全には理解され ることはなかった。
*でも、どういう状態でその霊界に戻るのでしょうか。つまり、目覚め た状態なのですか? 自分たちに起きた事を自覚しているのでしょうか、 それとも複数の宗教で信じられているように「最後の時」のような事態 になるまで昏睡状態でいるのでしょうか。
昏睡状態どころか、転生している時より霊界にいる時の方が、現実を ずっと良く自覚しているのだ。肉体を離脱することで、魂が意識を失っ たり、寝ぼけたままの状態になるのだと考えてはいけない。各魂の進化程度と死の状況によって期間が異なる、一種の混乱期を経るとは言え、 魂は霊界で真の生を見出し、色々な事を自覚するのだ。その中には、何 が転生の目的であったのか、ということも含まれる。
霊界は君たちの世界以上に実体のあるところなので、もちろん、他の 存在と一緒に関わる業務もある。実際のところ、君たちの世界というも のは、霊界の実像が歪められて投影されたものに過ぎないのだ。
*でも、正確にはどこに行くのですか。
普通はどの魂も肉体を捨てると、各自の進歩状況に応じた次元の霊界 に行くことになる。そしてそれは、生存中にどれだけ「愛の法則」に見 合う行為をしたかで決まる。魂の最終目的地は、いつも霊界の故郷に戻 ることだ。
しかし、他の生き物を酷く苦しめる行為をした犯罪者の魂などは、そ の行いが足かせとなって、下層アストラル界の低い波動レベルに囚われ てしまうのだ。
それとは全く逆に、我欲の大部分に打ち克つことができ、愛情に満ち た行動をした魂は、上層アストラル界の一番高い波動領域まで昇ってい けるのだ。
この二つの極端な例の間には、無数の中間層が存在しているのだが、 どこに行くのかは、それぞれの魂の霊性レベルと、どれだけ「愛の法 則」に沿った行いをしたかによる。
*話が分からなくなってきたので、少し待って下さい。「波動レベル」 が何を意味するのか説明していただけますか。それが、進化の状態とど う関係があるのですか。
波動レベルは、魂の進化状態がエネルギー次元に反映されることだ。
愛がアストラル次元、つまりエネルギー次元で顕れると、波長が高い と言える。したがって高振動の波動は、愛の能力が高く、エゴを脱却で きた進化した魂のエネルギー体のものだ。
低周波の波動は、まだ我欲で行動している進歩のみられない魂につき ものだ。
この両者の間に、中間的な進化段階にいる魂たちが存在していて、波 動レベルも中ほどなのだ。
どの魂も肉体を離れた後は、それぞれの進化レベルに応じて、自己の 波動レベルに相当する次元に移行するのだ。
*全く理解できません。霊界や、波動レベルや、エネルギー次元や、下 層・上層アストラル界についてのお話ですが、僕には定義が曖昧すぎて、 正確には何を意味するのかも、何を言わんとするのかも分かりません。
霊界というものがどういうところで、そのようなエネルギーの波動レ ベルがどこに位置するのか、また、アストラル下層とか上層とかが何を 意味するのか教えて下さいますか。
肉体に制限されて全体を捉えられない者に、霊的世界を詳細に描写す るのはとても難しい。それは、生まれつき眼が見えない者に、色とはど ういうものかを説明するようなものだ。
だが、霊界については幾つかの点を、特に宗教上の観念や信念が実際 とは異なる歪んだ概念を与えてしまった領域を、できる限り明らかにし てみよう。
先ず最初に、霊界というものは、霊魂がどこに行ったらいいのかも分 からずにさまよい続ける形のない薄ぼけた空っぽな世界ではない、と言 っておこう。霊界は実体があり、魂の本当の故郷で、常に存在し今後も 存在し続ける触知可能な世界であり、始まりと終わりのある物質界と違 って、破壊されることがない。
*そんなに実体のあるものなら、どうして見ることができないのですか。
君たちに見えないからといって、存在しないことにはならない。肉体 を持っている時に君たちが知覚できるのは、物理的感覚で捉えられるこ とに限定されてしまう。
たとえば、君たちは光を、様々な周波数で振動する波動として定義し ている。だが、君たちが見ることのできる光の範囲は虹の七色に限定さ れ、下限の赤色から上限は紫色までの周波数に限られる。
しかし見ることはできないが、機器を使えば君たちにも察知可能な、 この周波帯以下、あるいは以上の光も、同じように存在している。
紫色の周波数の上には、紫外線やX線やガンマ線がある。赤色の周波 数の下には、赤外線やマイクロ波やラジオやテレビの波長がある。
霊的世界を知覚する場合も似たようなことが起こる。光の波長分析に 従えば、霊界は君たちが知覚できない周波域内に存在していて、この領 域の中にも高低まちまちの波長があると言える。
*でも存在するのなら、何かによって構成されている筈ですが。僕たち の世界の物質は、色々な度合いや形状にまとまった様々な種類の原子か ら成り立っていて、それらの原子の組み合わせで物質が生まれ、それによって特定の物理的な性質を持った世界が造られていますよね。霊界の 場合には、全ての基となるような素材があるのでしょうか。
あるよ。「生命の本質」とか「魂の素」とか呼んで構わない。
*どんな性質をしているのですか。
それを説明するのは複雑だが、理解できるようなヒントをあげよう。
アルベルト・アインシュタインの研究とその後の量子物理学の進展に より、物質とはエネルギーが凝縮された形態に過ぎず、原子よりも小さ な粒子に分解でき、分解によって、物質の一部が光に変化することが分 かった。
したがい、光と物質が、別々の事物に見えるほど大きく異なる性質を 持つとは言え、両者の違いは本質的なものではなく、構造と凝縮度合い の違いによるのだ。
理解し難いなら、水に起こることをイメージするといい。水は構成要 素が変わらないにも関わらず、微粒子の動き具合やその振動状態の違い によって、固体(氷)、液体、気体(水蒸気)と、それぞれの状態で大 変異なる性質を見せるだろう。微粒子は氷において最も静止しているが、 液体の水ではそれほどではなく、水蒸気ではさらに活性化している。
この例をモデルにすると、物質世界というのは、「生命の本質」が最 も凝縮された形態であって、物理学が見出そうとする諸法則に従った一 連の性質は物質世界で顕れるのだと言えるのだ。
しかし純粋に霊的な世界と物質界との間には、濃度の中間的な階層が 存在している。一番希薄なものから最も濃密なものへと、順に、霊界・ メンタル界・アストラル(エネルギー)界・物質(物理)界にまとめら れ、その各々に特性があり、独自の法則がある。これらの世界はお互い に孤立しているのではなく、完璧な相互関係があるので、濃縮された形 態の世界が精妙な形態の世界と無関係に存在することはない。
*それなら、「アストラル界」と「霊界」の定義には違いがあるのです か。時々、両者を同義語として使われているように思えるのですが。
違いはあるよ。霊界というのは、全てが生まれ出る次元であり破壊さ れることはないが、アストラル界は、霊界がエネルギー次元に具現化し たものだ。つまり、物質界ほどではないにしろ、ここでの「生命の本 質」はもうかなり濃縮された形である。アストラル界は変容し、定期的 な再生と衰退の過程がある。
確かに私は「霊界」という言葉を、君たちの世界を指す「物質界」の 対比語として、君たちには捉え難い三つの精妙な世界(霊界・メンタル 界・アストラル界)をまとめて指すために使用することがある。どの用 語を使用するかは、文脈やどの面をどう強調したいかによる。
私は普通、「霊界」という言葉をより広い意味で使用するが、「アス トラル界」は、物質界に近い見えない世界のことなので、より具体的な 用語だ。
*少しはイメージできましたが、アストラル界と言う時は、具体的には 何を指しているのですか。
どの惑星もエネルギー的に対応するアストラル球体と繋がっている。
これは物理的な惑星の上に覆い被さっていて、大きさはずっと広いも ののずっと繊細な性質をしている。物理的な惑星がコーヒーの豆粒ほど の大きさだとしたら、アストラル的惑星の大きさはサッカーボールに相 当する。だがエネルギーの性質上、コーヒー豆はサッカーボールの中心 となる。物理的な惑星は、アストラル的惑星からエネルギーを貰うこと でその構造と機能を維持しているので、アストラル球体をなくしては存 在できない。
このアストラル界には様々なレベル、つまり密度の異なる色々な波動 層があるが、物理的な惑星の表面に近い層が最も濃密で、繊細になれば なるほど表面からは遠ざかる。
それぞれの層には、独自の地質的な構造と自然がある。より精妙な層 の自然の方が、粗雑な層のものよりも美しく完全だという差はあるが、 どれもに谷や山や河があり、動植物もいる。物質界の自然は、アストラ ルの自然が不完全に投影されたものだと言えるし、物質界に存在するも のは全て、それ以前にアストラル界で実験済みなのだ。
*アストラル的惑星には、生命が存在するのですか?
アストラル球体または惑星は、生命に溢れ、地球と繋がりのある霊魂 や転生していない様々な命の故郷なのだ。
君たちの物質界で生まれる大多数の者の源点であり、死ぬ者たちの目 的地だ。先ほど、魂は肉体を離れると霊界に戻ると言ったが、通常は、 自分の霊性に応じたエネルギーレベルに見合う、アストラル惑星内の波 動レベルのどれかに移行するのだ。
今、私たちはその中の一つにいる。君が今、自分の周りで見ている自 然は、この波動レベルに特有なものだ。
*アストラル界に霊魂が住んでいて、それらが地球に生まれ変わるので すね。その世界と住人についてや、死後にアストラル界のどのレベルに 行くかが何によって決まるのかについて、もっと知りたいのですが。
そうだ! それに、アストラル界の上層とか下層とかが、何を意味す るのかまだ教えて下さっていないので、早くそれを説明いただけません か。
よし! すでに言った通り、アストラル界の波動帯の各々には霊魂が住 んでいるので、彼らもまた天然の素材で独自の文明を創ったのだ。
魂が進化していくと、つまり、エゴを解き放って愛情深くなるにつれ、 愛に基づいた行為が自己の波動を高め、それによって、新しい進化レベ ルに見合った振動領域へと上昇していくことができる。
この波動対応という法則によって、精妙な性質の進化した魂ほど、地 上表面から離れたさらに繊細な波動領域に住むこととなり、一方、段階 的により濃密な層へと降りるにつれて、だんだんと、進歩が少なく性質 の重い魂が住む共同体に行くことになる。結果として、精妙な層の方が 重たい層よりも、道徳面でも技術面でも進んでおり、文明もより完全な ものなのだ。
独断的な区分に過ぎないが、これらの異なる波動レベルを、振動が高 まり密度が薄くなっていく順番に、アストラル下層・中層・上層に分類 することができる。
アストラル上層の霊魂たちは、魂の目的が何であるかを完全に自覚し ており、意識的な進化の段階にいる。彼らは、自己の意志と努力の全て を霊的な進歩に向けており、多くの場合に気づいてもらえなくても、進 化の劣る他の魂の進歩を手助けすることに注力する。彼らは、基本的に このことに時間を費やしているのだ。
下層アストラルには、霊性進化の乏しい霊魂がいるが、彼らは、まだ 若い魂だったり、進化の初期段階にいる者や、何度も転生して知的発達 は遂げているものの感情を育めなかった者などだ。
中層アストラルには、中間的な進歩段階の霊魂がいる。地上に転生し ている魂の大半は、肉体を捨てた後にここに行くことになるのだ。もっ ともそこに行き着くまでに、生存中の「愛の法則」への違反行為によっ て、多くの者が一時的に下層アストラルに勾留されて、そこである程度 の期間を過ごす必要があるかもしれない。
*お話を聞く限りでは、アストラル下層界は地獄、上層界は天国、そし て、中間層は煉獄に匹敵するのではないですか。
地獄、煉獄、天国などの概念こそ、私が話している霊的な実相が大い に歪められたイメージであり、実体と似ている点はほとんどない。
実際のところ、アストラル上層に達することができた魂は全て、昔は 下層界にいたことがあり、中間層を通ってきたのだ。そして彼らが、上 層に到達できたのは、自分自身の努力で、愛における霊的成長を遂げて 波動レベルを高め、現在の領域に住むに値するようになったからだ。
そして下層アストラルの全ての霊魂も、充分成長できれば霊性進化の 計画通り、いつかはアストラル上層域に住めることになるのだ。したが い、牢獄の役目をするように創られた場所など存在しないし、下層界に いることで経験し得る苦しみも、永遠には続かない。
*でもあなたが言う通りなら、「悪者」はアストラル下層部に行くこと になり、その場所で苦しむのではないですか。
そうではあるが、アストラル下層の全ての住人が「悪者」とは限らな いし、「苦しむ」訳でもない。
また、「悪者」という定義も不完全なものだ。知力のみにおいては進 歩したが愛に関してはほとんど成長していない、怠惰な魂、と呼んだ方 が良かろう。
先ほど話したが、霊的進化の初期段階にいる原初的な霊魂も、自由意 志を持った個別の存在として、アストラル下部に住んでいるのだ。この ような未熟な霊魂は、似た波動同士で集まり、同じ層に住んではいても 怠惰な魂とは交流がなく、それぞれが別々に離れた地域に住んでいる。 原初的な霊魂にとっては、そこが自己のレベルにふさわしい環境なので、 アストラル下層にいることを不幸だとは感じていない。
苦しむのは、怠惰な魂の方だ。なぜなら、愛を与えなかったとは言え、 原初的な霊魂よりも敏感に感じ取れるので、愛の欠如に気づくと辛いの だ。彼ら自身と同じように自我の強い者を仲間として暮らすのが、辛い のだ。より良い生を垣間見ており、自由意志を誤用し他者を傷つけたせ いで自分が惨めな状態に置かれていることを知っているので、苦悩する のだ。
*あなたが言うことを想像するのは難しいです。
アストラル下層界にいる原初的な魂と怠惰な魂との感じ方の違いが分 かるように、君の世界での例を挙げてみよう。
密林に置き去りにされた猿人と西洋人との違いを想像してごらん。猿 人はジャングルの中に溶け込んで完全に幸せに暮らせるのに、文化的生活の利便性に慣れた西洋人にとっては、密林の中で生きるのは拷問のよ うに酷く辛いことだろう。
*そんなに酷い場所なら、どうして下層アストラルが存在するのですか。
それは宇宙には、最も原始的なものから最も進化したものに至るまで、 全ての存在にふさわしい場所があるからで、君たちと同レベルの惑星で は、感情の学習の初歩段階にいる者の故郷が、アストラル下層だからだ。
また下層界は、「愛の法則」に反した行いをした魂に特別に設けられ た場所でもない。それが酷いものなのは、入植者が環境を尊重しなけれ ば天然の土地もゴミ捨て場と化してしまうように、そこにいる者自身の 低い霊性から放たれる波動が、息詰まるような居住環境を生み出したか らなのだ。
*アストラル下層の霊魂についての話なので興味があるのですが、悪魔 やサタンは存在するのですか。
常に悪に従事する霊魂などいないし、サタンにつきものとされる全能 な破壊力を持つ者など、なおさらだ。
アストラル下部に住む霊魂は、感情面でほとんど進歩していない魂だ。 それはもう話したように、彼らが幼い魂だったり、またはある程度古い 魂であっても、感情を余り成長させることができなかったからだ。
アストラル下層にとても知的な魂がいたとしても、その知能を他の魂 に害を与えることに使用して、まだ感情を発達させていないのであれば、 賢いとは言えない。なぜなら、叡智というのは感情を知ることで生まれ るものだからだ。そして、我欲にまみれて幸せを知らない彼らは不幸な のだ。
我欲を克服して愛を知った他の魂が、叡智と至福に到達したのを直感 し、自分にそれらがないのを嫉妬して、肉体に宿った同胞の霊的進歩を 力の限り妨害し、愛から溢れ出る至福を他者にも味わわせまいとする。 スペインのことわざにもあるように「大勢の人の不幸は愚か者の慰め (他人の不幸は密の味)」となるのだ。
そのため、組織的に肉体を脱いだ者の成長を妨げて、後継者を得よう とする。だが、肉体を持つ者に及ぼせる力は、肉体を持つ者が影響を甘 受しない限り、かなり制限される。
しかも、彼らの存在できる領域は、低い周波帯に限定されている。高 い域に達するには愛さねばならないのだが、それを拒否して、自分自身 で低レベルに滞留するのだ。そして「全員がリーダーになりたい」とい う欲を持っているため、常に縄張り争いに悩まされている。
しかしこれらの魂は大変不幸なので、遅かれ早かれ、「悪者」でいる のが嫌になって、この状況から抜け出ようとする。すると、このような 居心地の悪い領域に隣接した地帯に救助所を設けている、より高い領域 の魂たちに救出されるのだ。
*幽体(アストラル体)離脱についての話の時に、肉体に宿った魂は、 ひと度肉体から解放されると、ほとんど一瞬にして思考が赴く場所に移 動できる、と言われましたよね。
そうだ。だが、自分自身の振動レベルと同調できる範囲内でだ。
*肉体から離れた魂は、アストラル界の異なる領域を自由に行き来する ことも可能ですか。
高次元の魂ほど自由に動き回ることができ、君たちが沼地を歩く時の ような不快感はあるものの、下のレベルに降りることができる。
下層の魂は自己の波動レベルを高めない限り、自分より上のレベルに 行くことができない。霊的に進化した時にのみ、そうできるようになる のだ。それゆえ、違うレベル間での魂の交流は、常に、より進歩した者 が低い域に降りることで成り立つ。
アストラル下層の濃密な地域では「アストラル物質」の振動数が大変 低く、物資界に酷似しているので、ここに住む魂は、肉体を持った人間 のように制約された暮らしをしており、周辺を移動するのが困難なのだ。
だが、アストラル上層の魂は、自由に移動できる。もっとも、アスト ラル下層に顕現してそこの住人に認知されるためには、波動調整をしな くてはならず、これは、君たちが煙に充満する部屋の空気を吸わなくて はならない時のように苦痛を伴うものとなる。
*どうしてレベル間の区分があるのですか。
アストラル界の性質上、元来区分けはされていて、それによって進歩 の乏しい魂が愛が司る高い周波領域に介入して、そこの住人に害を及ぼ すことを阻止しているのだ。
*でも、これらの波動領域には何らかの接点があるのでしょうか、それ ともお互いに完全に分離しているのでしょうか。
これらの区分けは急激なものではなく緩やかなものだ。大気の濃度が 地表を離れるにつれて薄くなっていくのと同じように、「アストラル物 質」の密度もそうなるのだ。
アストラル界の様々な共同体は、前に述べたような制限があるものの、 お互いに交流し、魂も行き来している。つまり、進歩した者が自由に、自己と同等、またはそれ以下のレベルの間を移動できる一方で、余り進 歩していない者は、霊的に進化して波動レベルを高めることによっての み、上方のレベルに達することが可能だ。
中間層の共同体は、さらに高度な霊的な法則に従って共同体を組織で きるように、上層共同体から手助けされて、霊的・技術的なアドバイス を受けている。またその傍ら、中間層の共同体からは、下層界の波動領 域を抜け出す準備が整った魂たちの救助隊が出動する。準備が整った魂 は、自身が犯した罪を自覚して、後悔して改善したいと思い、その状況 から抜け出せるように心から援助を要請したという訳だ。
*救助の任務とは具体的にどういうものですか。
イメージが掴めるように言えば、進歩した魂の共同体は一種の霊的な NGOのように活動し、困窮状態に苦しむ魂を支援したり救出するために 下層に降りる。戦闘員の待ち伏せによる爆撃で負傷した市民や、戦争や 飢餓や自然災害などで荒廃してしまった地域から逃れて来た避難民を救 出することに似ている。
このために、アストラル下層と中間層との境界域に、病院・避難所・ 学校などを造って、低い波動帯から救出されたばかりの魂の面倒を見て、 再教育をする。救出された魂はこれらの場所に、自己のリハビリに必要 とされる期間だけ留まるのだ。
そしてひと度回復すると、その多くの者が、下層の苦しむ魂の世話や 救出という、自らも恩恵を受けたのと同じ仕事に就いて活躍する。それ によって彼らは自分が役に立つのだと感じ、少し幸せな気持ちになれる のだ。なぜならそれは、自分がしてもらったことへの恩返しともなるし、 身をもって体験したばかりなので同胞の苦しみが完璧に理解できて、心 から助けてあげたいと願っているからだ。
他者に対する愛の行為は波動を高めるので、こうして自分自身をも助 けることとなるのだ。そして、適切な振動レベルを取り戻した後に希望 するのであれば、魂の故郷に戻ることができるのだ。
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